読書のすすめ 第31号

★『地図帳』

 今回おすすめする本は・・・、なんと!『地図帳』です。「地図帳なんておもしろいの?」と思ったことがあり、以前友人の社会科の先生方に質問したことがあります。そろいもそろって「今の地図帳はほんとおもしろいっすよ!」と力強い答えが返ってきました。「今の地図帳」をじっくり見たことがないので、私はその魅力をうまく伝えることができませんが、地図帳の必要さはしみじみわかります。

 10年ほど前になりますが、それを特に実感したエピソードがあります。ある生徒との面談で「フランスはどの辺か知ってる?」と聞いたところ、ななななんと、「フランスはアジアです。」という答えが返ってきたのです!その子の名誉のために名前は伏せておきます(泣)。今の方が地理の勉強カリキュラムは改善されていると思いますが、当時の学習指導要領は「ある特定の地域をいくつか学んでおしまい」のカリキュラムでした。取り上げられた地域については詳しくなるかもしれませんが、下手をすると全体像がつかめないまま日本地理・世界地理ともに終わってしまっていたのです。そして実際に、全体像がつかめない生徒がいたのです。ちなみに先ほど登場した生徒は、福島県を「左の方にある。」と答えました(泣)。教える側である学校の先生ご自身は、全体像を理解されているからいいかもしれませんが、地理を初めて教わる生徒たちにとってはたまったものではありません。「フランスはヨーロッパ、福島県は東北地方」というのは、地理の勉強というより一般常識のレベルです。

 

 今の地理の勉強がそうなっていないことを願いますが、授業内容いかんに関わらず、ぜひ地図帳で日本地理・世界地理の全体像をつかみましょう!地図帳がちょっとおっくうだったら、紙1枚版の地図でもいいと思います。どこか自分がよく目にするところに貼っておきましょう。そうすれば無理に覚えようとしなくても、何となく「この国〔県〕はこの辺にあったよな。」という感覚が養えるはずです。なお、当塾では教室内に貼ってあります(笑)。